指の関節の痛みの原因として、関節リウマチと並んで、あるいはそれ以上に頻度が高いのが、骨や軟骨、腱といった運動器そのもののトラブルです。これらの病気や怪我の診断と治療を専門とするのが「整形外科」です。整形外科を受診すべき指の痛みの特徴は、痛みの原因やきっかけが比較的はっきりしていること、そして痛みが特定の関節に限局していることが多い点です。例えば、「ボールが当たって突き指をした」「ドアに指を挟んだ」といった明らかな外傷(けが)が原因の場合は、骨折や脱臼、靭帯損傷の可能性があるため、迷わず整形外科を受診する必要があります。レントゲン検査で骨の状態を確認し、適切な固定や治療を行います。また、明らかな怪我はなくても、指の使いすぎによって痛みが生じることもあります。その代表が、指の付け根に痛みや腫れ、熱感を伴う「腱鞘炎」です。指を曲げ伸ばしする際に、カクンと引っかかるような動き(ばね現象)が見られる場合は、「ばね指」と呼ばれます。パソコン作業や楽器の演奏、手芸など、指を酷使する人に起こりやすい病気です。さらに、特に中高年の女性に多く見られるのが、加齢に伴う関節軟骨のすり減りが原因で起こる「変形性指関節症」です。指の第一関節(DIP関節)が腫れたり、曲がったり、水ぶくれのようなもの(ミューカスシスト)ができたりするものを「ヘバーデン結節」、第二関節(PIP関節)に同様の変化が起こるものを「ブシャール結節」と呼びます。リウマチと異なり、複数の指に起こることはあっても、左右対称性はそれほど厳密ではありません。整形外科では、問診と診察で痛みの部位や指の動きを確認し、レントゲン検査で骨の変形や関節の隙間の狭さなどを評価して診断を下します。治療は、まず安静やテーピングによる固定、消炎鎮痛薬の塗り薬や貼り薬、内服薬が基本となります。痛みが強い場合には、関節内にステロイド注射を行うこともあります。これらの保存的治療で改善しない場合や、ばね指の症状が重い場合には、日帰りで可能な簡単な手術が選択されることもあります。
けがや使いすぎ、変形が原因なら「整形外科」が専門