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まとめ。頭痛で迷ったら、どう考え、どう行動すべきか
これまで見てきたように、「頭痛」という一つの症状の裏には、軽い体調不良から命に関わる緊急疾患まで、実に様々な原因が隠されています。そのため、的確な初期対応と、適切な診療科選びが、早期回復と安心への鍵を握ります。では、実際に頭痛を感じた時、私たちはどのように考え、行動すればよいのでしょうか。ここでは、診療科を選ぶための思考プロセスを整理してみましょう。まず、Step 1として、「危険な頭痛のサイン(レッドフラッグサイン)がないか」をチェックします。「これまでに経験したことのない突然の激しい頭痛」「手足の麻痺やろれつが回らないといった神経症状」「高熱と首の硬直」といったサインが一つでもあれば、それは緊急事態です。迷わず直ちに救急車を呼ぶか、脳神経外科・脳神経内科のある救急病院へ向かってください。次に、Step 2として、緊急性はないものの、頭痛以外の「伴う症状」に注目します。「目の痛みや充血」があれば眼科、「鼻づまりや顔の痛み」があれば耳鼻咽喉科、といったように、他の症状が原因を特定するヒントになります。Step 3は、慢性的に繰り返す頭痛の場合です。この場合は、一次性頭痛の可能性が高いですが、自己判断は禁物です。まずは「危険な二次性頭痛ではない」ことを確認するために、一度は「脳神経外科」または「脳神経内科」を受診し、CTやMRIなどの検査を受けることが推奨されます。そこで脳に異常がないと診断されれば、安心してその後の治療に進めます。そして、Step 4として、それでも判断に迷う場合、あるいはどの科に行けばよいかわからない場合です。この場合は、かかりつけの「内科」や「総合内科」を最初の窓口とするのが賢明です。幅広い疾患に対応できる医師が、初期診断を行い、必要に応じて最適な専門科へ紹介してくれます。特に、長引く頭痛で生活に支障が出ている場合は、より専門的なアプローチが可能な「頭痛外来」を訪れるのも非常に有効な選択肢です。頭痛は我慢すべきものではありません。この思考プロセスを参考に、ご自身の症状と向き合い、適切な医療機関に相談することで、つらい痛みから解放される道筋がきっと見つかるはずです。