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2025年8月
  • 突発性発疹と間違いやすい他の発疹症との見分け方

    知識

    赤ちゃんに熱と発疹が出た時、保護者としてはそれが本当に突発性発疹なのか、それとも別の病気なのか、非常に気になるところです。中には注意が必要な感染症もあるため、自己判断は禁物ですが、代表的な発疹症との違いを知っておくことは、冷静な対応に繋がります。まず、最も重要な鑑別疾患が「麻疹(はしか)」です。麻疹は、38度以上の高熱と共に、咳、鼻水、目やにといった風邪のような症状(カタル症状)が強く現れるのが特徴です。そして、発熱から3~4日経つと、口の中に「コプリック斑」という、塩をまいたような白い斑点が現れ、その後、耳の後ろあたりから発疹が出始めます。麻疹の発疹は、突発性発疹よりも色が濃く、次第に発疹同士がくっついて融合し、顔から体、手足へと広がり、消えた後にはしばらく色素沈着が残ります。「熱が下がってから発疹が出る」突発性発疹とは、経過が全く異なります。次に、「風疹(三日ばしか)」も発熱と発疹を伴いますが、突発性発疹ほどの高熱にはならないことが多く、発熱とほぼ同時に発疹が出現します。発疹は麻疹より淡い色で、耳の後ろや首のリンパ節が腫れるのが特徴的です。また、「溶連菌感染症」に伴う発疹(猩紅熱)は、高熱や喉の強い痛みに加え、舌が赤くブツブツになる「いちご舌」が見られます。発疹は、紙やすりのようにザラザラした細かい点状のものであることが特徴です。そして、最も注意深く鑑別しなければならないのが「川崎病」です。これは原因不明の血管炎で、5日以上続く高熱、目の充血、唇の発赤やいちご舌、手足の腫れ、首のリンパ節の腫れ、そしてBCG接種痕の発赤といった症状と共に、全身に不定形の発疹が出ます。川崎病は心臓の血管に合併症を残すことがあるため、早期診断と専門的な治療が不可欠です。これらの病気との鑑別は、発疹の見た目だけでなく、出現のタイミング、熱のパターン、他の随伴症状などを総合的に判断する必要があり、専門家である小児科医でなければ困難です。特に麻疹は感染力が非常に強く、重篤な合併症のリスクもあるため、疑わしい場合は必ず医療機関を受診してください。