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【かかと】朝の一歩目が激痛!足底腱膜炎のサイン
足の裏の痛みの中でも、特に頻度が高いのが「かかと」の痛みです。そして、その代表格と言えるのが「足底腱膜炎(そくていけんまくえん)」です。この病気は、特に40代以降の成人に多く見られ、ランニングなどのスポーツをする人にも好発します。足底腱膜炎の最も特徴的な症状は、「朝、起きてベッドから降りた最初の一歩目に、かかとに針で刺すような、あるいは引き裂かれるような激しい痛みが走る」ことです。しばらく歩いているうちに、痛みは少しずつ和らいでいきますが、長時間座っていて再び歩き始めると、また同じように痛みがぶり返します。これは、足の裏にある「足底腱膜」という、かかとの骨から足指の付け根まで伸びている強靭な繊維状の膜に、過度な負担がかかり、微細な断裂と炎症が生じることで起こります。足底腱膜は、足のアーチ(土踏まず)を支え、歩行時の衝撃を吸収するクッションのような重要な役割を担っています。加齢による腱膜の柔軟性の低下、長時間の立ち仕事、急激な体重増加、扁平足やハイアーチといった足の構造的な問題、あるいは底の硬い靴の使用などが、この腱膜への負担を増大させる要因となります。診断は、主に問診と、かかとの骨の内側やや前方を押すと強い痛みがあるか(圧痛)を確認する身体診察で行われます。整形外科では、レントゲン撮影を行い、かかとの骨に「骨棘(こつきょく)」と呼ばれるトゲのような骨の突起ができていないかを確認することもありますが、骨棘がなくても足底腱膜炎は発症します。治療の基本は、まず負担を減らすことです。安静を保ち、ストレッチングで足底腱膜やアキレス腱の柔軟性を高めることが非常に重要です。また、衝撃吸収性の高いインソール(足底挿板)を靴の中に入れたり、シリコン製のヒールカップを使用したりする装具療法も有効です。痛みが強い場合には、消炎鎮痛薬の内服や湿布が用いられ、難治性の場合には、ステロイドの局所注射が行われることもあります。最近では、体外から衝撃波を当てて組織の修復を促す「体外衝撃波治療」も、保険適用となり、新たな治療選択肢となっています。