栄養学が学べるクリニックサイト

2025年8月
  • 全身の病気のサイン?膠原病と指の関節痛を疑う時

    医療

    指の関節の痛みが、実は関節だけの問題ではなく、免疫システムの異常が全身の様々な臓器に影響を及ぼす「膠原病(こうげんびょう)」の一症状である場合があります。膠原病は、本来は体を守るはずの免疫が、誤って自分自身の正常な細胞や組織を攻撃してしまう自己免疫疾患の総称です。これまで述べてきた関節リウマチも、膠原病の代表的な疾患の一つですが、それ以外にも指の関節痛を引き起こす様々な膠原病が存在します。これらの病気を専門に診療するのが「リウマチ・膠原病内科」です。膠原病が疑われる場合、指の関節痛は単独で現れることは少なく、多くは他の特徴的な全身症状を伴います。例えば、「全身性エリテマトーデス(SLE)」は、若い女性に多く発症し、関節痛に加えて、頬に現れる蝶のような形の発疹(蝶形紅斑)、日光に当たると皮膚が赤くなる日光過敏症、原因不明の発熱、全身の倦怠感、口内炎、脱毛といった多彩な症状が見られます。「強皮症」では、関節痛や指のこわばりに加え、「レイノー現象」が非常に特徴的です。これは、冷たい水に触れたり、寒冷刺激を受けたりすると、指先が蒼白になり、次いで紫色、そして赤色へと変化する現象です。進行すると、指の皮膚が硬くなり、指が曲がりにくくなったり、指先に潰瘍ができたりすることもあります。また、「混合性結合組織病(MCTD)」は、SLE、強皮症、多発性筋炎・皮膚筋炎という三つの膠原病の症状が混ざり合って現れる病気で、指の腫れやレイノー現象、関節痛が高頻度で見られます。このように、単なる指の痛みだけでなく、原因不明の発熱が続く、全身がだるい、皮膚に発疹が出た、寒いと指先の色が白くなる、といった全身症状が複数当てはまる場合は、膠原病の可能性を念頭に置く必要があります。これらの病気は、放置すると腎臓や肺、心臓といった重要な臓F器に障害が及ぶこともあるため、早期に専門医である「リウマチ・膠原病内科」を受診し、血液検査(各種自己抗体の測定)などを受けて、正確な診断と全身的な治療を開始することが何よりも重要です。