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2025年8月
  • まとめ。指の関節痛、診療科選びの思考プロセス

    医療

    これまで見てきたように、「指の関節が痛い」という一つの症状の裏には、軽い怪我から全身性の難病まで、実に様々な原因が隠されています。そのため、的確な初期対応と、適切な診療科選びが、早期回復への鍵を握ります。では、実際に指に痛みを感じた時、私たちはどのように考え、行動すればよいのでしょうか。ここでは、診療科を選ぶための思考プロセスを整理してみましょう。まず、Step 1として、「痛みのきっかけ」を思い出します。「ドアに指を挟んだ」「突き指をした」など、明らかな怪我や外傷が原因であれば、迷わず「整形外科」を受診しましょう。次に、Step 2として、「痛む関節の数と場所、症状の出方」を観察します。「朝起きた時に、複数の指の関節が、左右対称にこわばって腫れ、痛む」のであれば、「関節リウマチ」を強く疑い、「リウマチ科」が第一選択となります。一方、「指の第一関節だけが変形して痛い」「指の曲げ伸ばしで、付け根がカクンと痛む」といった場合は、変形性関節症や腱鞘炎の可能性が高く、「整形外科」が適しています。そして、Step 3として、「指以外の伴う症状」に注目します。「皮膚に銀色のフケのようなものが付いた赤い発疹がある」「爪が変形している」場合は、乾癬性関節炎を疑い、「皮膚科」または「リウマチ科」へ。「ある日突然、一つの関節が激しく痛み、赤く腫れ上がった」なら、痛風発作の可能性を考え、「整形外科」か「内科」へ。「原因不明の発熱や倦怠感、顔の発疹、寒い時の指先の変色などがある」場合は、膠原病を疑い、「リウマチ・膠原病内科」を受診する必要があります。もし、これらのステップを踏んでも判断に迷う場合、あるいはどの症状も当てはまるようでわからない場合は、まずはかかりつけの医師に相談するか、多くの指の痛みの初期対応が可能である「整形外科」を最初の窓口とするのが良いでしょう。そこで専門的な評価が必要と判断されれば、適切な科へ紹介してもらえます。指の痛みは、日常生活の質を大きく左右するだけでなく、重大な病気のサインである可能性もあります。自己判断で放置せず、ぜひこの思考プロセスを参考に、早期に医療機関の扉を叩いてください。