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爪に現れる全身の病気のサインと関連する診療科
爪は、体の末端にありながら、健康状態を映し出す「鏡」とも言われています。爪の色や形、厚さなどの変化が、実は爪自体の病気ではなく、体の内部で起きている全身性の病気(内科的疾患)の重要なサインであることがあるのです。このような場合、爪の異常に気づいたことをきっかけに、原因となっている病気を治療するために「内科」や「リウマチ・膠原病内科」など、それぞれの専門科を受診する必要があります。例えば、爪がスプーンのように中央がへこんで反り返る状態(スプーンネイル・匙状爪)は、「鉄欠乏性貧血」の典型的な兆候です。鉄分が不足すると、爪が薄く、もろくなるために起こります。動悸や息切れ、倦怠感などの症状と共に、スプーンネイルに気づいたら、内科で血液検査を受けることが推奨されます。また、指先が太鼓のばちのように丸く膨らみ、爪が大きく盛り上がる「ばち指」は、慢性的な酸素不足を示すサインです。肺がんや間質性肺炎といった「肺の病気」や、先天性の「心臓病」が背景に隠れている可能性があるため、呼吸器内科や循環器内科での精密検査が必要です。爪に白い横線が入る場合は、栄養障害や糖尿病、亜鉛欠乏症などが考えられます。爪の根元にある爪半月がなくなったり、逆に赤みを帯びたりする場合は、肝硬変や心不全、あるいは膠原病の可能性も示唆されます。特に、「膠原病」では、多彩な爪の変化が見られます。強皮症では、寒い時に指先の色が白くなるレイノー現象と共に、爪上皮(甘皮)に出血点が見られたり、爪が変形したりします。全身性エリテマトーデス(SLE)でも同様の症状が見られることがあります。これらの病気は、関節痛や皮膚症状、発熱など、他の全身症状を伴うことが多いため、リウマチ・膠原病内科での専門的な診断が不可欠です。このように、爪は体からの重要なメッセージを発信しています。爪だけの問題だと決めつけず、他に気になる症状がある場合は、かかりつけの内科医に相談し、全身的な視点から原因を探ってもらうことが大切です。