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危険なサインを見逃さない!緊急受診が必要な喉の症状
のどちんこ(口蓋垂)の腫れや痛みは、多くの場合、数日で改善する軽症の口蓋垂炎ですが、ごく稀に、その背後に命に関わる危険な病気が隠れていたり、炎症が重症化したりしていることがあります。ただの喉の痛みと自己判断せず、以下に挙げるような「危険なサイン(レッドフラッグサイン)」が見られた場合は、様子を見ずに、夜間や休日であっても直ちに医療機関(救急外来)を受診するか、救急車を呼ぶ必要があります。最も警戒すべき症状は、「息苦しさ、呼吸困難」です。口蓋垂が異常なほど大きく腫れあがり、喉を塞いでしまうと、気道が狭くなって呼吸ができなくなる危険性があります(気道閉塞)。特に、口蓋垂だけでなく、その奥にある喉頭蓋(こうとうがい)という部分に急激な炎症が起こる「急性喉頭蓋炎」は、窒息のリスクが非常に高い緊急疾患です。横になると息苦しさが増す、ゼーゼー、ヒューヒューといった異常な呼吸音がするといった場合は、極めて危険な兆候です。次に、「つばも飲み込めないほどの激しい痛み」や「口が開きにくい(開口障害)」といった症状がある場合です。これは、扁桃の周囲に膿がたまってしまう「扁桃周囲膿瘍」の可能性があります。この状態になると、口蓋垂が片側に押しやられて腫れることもあります。放置すると、膿が首の奥深くや胸部にまで広がり、重篤な感染症を引き起こすため、一刻も早く耳鼻咽喉科で、切開して膿を出す処置(切開排膿)を受ける必要があります。また、「40度近い高熱が続く」「意識がもうろうとしている」といった強い全身症状を伴う場合も、感染が全身に及んでいる敗血症の可能性があり、緊急の対応が求められます。さらに、「症状が2週間以上たっても一向に改善しない」「しこりのようなものができて、大きくなってくる」「原因不明の出血がある」といった場合も、稀ではありますが、悪性腫瘍(がん)などの可能性を否定するため、必ず専門医の診察が必要です。これらの危険なサインを見逃さず、迅速に行動することが、最悪の事態を避けるために何よりも重要です。