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脳や神経の病気?こんなしびれは要注意
手のしびれの多くは、首の骨や手首の問題といった、整形外科の領域で解決します。しかし、その背後には、時に、脳や脊髄、あるいは末梢神経そのものに異常が生じている、より専門的な神経系の病気が隠れている可能性も、決してゼロではありません。もし、あなたの手のしびれが、これから挙げるような、特徴的な症状を伴っている場合は、整形外科だけでなく、「脳神経外科」や「神経内科」といった、神経の専門家への相談を、視野に入れる必要があります。まず、最も警戒すべきなのが、手のしびれに加えて、以下のような症状が「突然」現れた場合です。「ろれつが回らない、言葉がうまく出てこない」「片方の顔が歪む、口の片側から水がこぼれる」「立ったり、歩いたりすると、ふらつく」「物が二重に見える」「視野の一部が欠ける」。これらの症状は、「脳梗塞」や「脳出血」といった、脳血管障害の典型的なサインです。脳の中で、運動や感覚を司る部分にダメージが及んでいることを示唆しており、一刻も早い治療が、その後の人生を左右します。この場合は、迷わず救急車を呼ぶか、救急外来を受診してください。また、しびれの現れ方が、左右対称に、まるで「手袋や靴下を履いている」かのように、手足の末端からじんじんと広がっていく場合は、「多発神経炎(末梢神経障害)」の可能性があります。その原因は、糖尿病や、ビタミン欠乏、あるいは膠原病といった、内科的な疾患であることも多いため、「神経内科」や「内科」が、専門となります。さらに、手のしびれだけでなく、足にも同様のしびれや、脱力感、あるいは、階段の上り下りが困難になったり、細かい作業がしにくくなったりといった症状が、数週間から数ヶ月かけて、徐々に進行していく場合は、「多発性硬化症」や「慢性炎症性脱髄性多発神経炎」といった、免疫系の異常によって、神経がダメージを受ける、専門的な神経難病の可能性も考えられます。これらの病気の診断と治療は、神経内科医の独壇場です。単なるしびれと侮らず、それに伴う「他のサイン」に、注意深く耳を傾けること。それが、見えない病気を早期に発見するための、重要な鍵となるのです。