つらい手のしびれの症状に悩み、ようやく病院へ行く決心がついた。しかし、いざ診察室に入ると、緊張してしまって、自分の症状を、うまく医師に伝えられなかった。「いつからですか?」「どんな感じですか?」という医師の質問に、曖昧にしか答えられず、不完全燃焼のまま、診察が終わってしまった。そんな経験はありませんか。限られた診察時間の中で、医師に、あなたの体の状態を、正確に、そして効率的に理解してもらうためには、実は、病院に行く「前」の、ほんの少しの準備が、非常に大きな役割を果たします。ここでは、受診がスムーズに進み、より的確な診断に繋がるための、症状の「伝え方」のポイントを、解説します。まず、最も重要なのが、「自分の症状を、メモに整理しておく」ことです。医師が、あなたの状態を把握するために、必ず質問するであろう項目について、予め、答えを書き出しておきましょう。具体的には、以下の六つのポイントを、整理しておくのがおすすめです。①「いつから」:症状が始まった、具体的な時期(例:三ヶ月前の朝から)。②「どこが」:しびれている範囲を、できるだけ正確に(例:右手の、親指と人差し指、中指だけ)。③「どんなふうに」:しびれの性質を、自分の言葉で表現する(例:ジンジンする、ピリピリする、感覚が鈍い、正座の後のよう)。④「どんな時に」:症状が、強くなったり、楽になったりする、特定の動作や姿勢(例:上を向くと、腕に痛みが走る。手を振ると、少し楽になる)。⑤「きっかけは?」:何か、思い当たるきっかけはあるか(例:転んで手をついた後から。パソコン作業の時間が長くなってから)。⑥「他に症状は?」:しびれ以外の、気になる症状(例:首や肩のこり、腕の痛み、握力の低下、細かい作業がしにくい)。これらの情報を、紙に書いて持参するだけで、問診は、驚くほどスムーズに進みます。また、もし、他の病気で服用している薬がある場合は、「お薬手帳」も、必ず持参してください。薬の副作用で、しびれが起きることもあるためです。これらの準備は、決して難しいことではありません。しかし、この一手間が、医師の、名探偵のような「診断的推論」を、大きく助け、結果的に、あなた自身が、より早く、より適切な治療へとたどり着くための、確かな道しるべとなるのです。
病院に行く前に!しびれの伝え方