ある日突然、指先がジンジンとしびれ始め、その不快な感覚が腕にまで広がっていく。あるいは、朝起きると、片方の手がうまく動かせない。そんな「手のしびれ」という症状に直面した時、多くの人が「一体、何科の病院に行けば良いのだろう?」と、大きな不安と共に途方に暮れてしまうかもしれません。その問いに対する最も的確で、そして最も安全な最初の答え、それは「まずは、整形外科を受診する」ということです。整形外科は、骨や関節、筋肉、靭帯、そして神経といった、体を動かすための器官(運動器)の専門家です。そして、手のしびれの最も一般的な原因の多くは、この運動器、特に「首の骨(頚椎)」や、「手首の神経」に問題があるために起こります。例えば、加齢によって首の骨が変形し、神経を圧迫する「頚椎症」や、骨と骨の間でクッションの役割を果たしている「椎間板」が飛び出して神経に触れる「頚椎椎間板ヘルニア」。これらは、首の骨の部分で神経が圧迫されることで、腕から指先にかけてのしびれや痛みを引き起こします。また、手首の部分で、指を動かすための神経(正中神経)が圧迫される「手根管症候群」は、特に中指を中心に、親指から薬指の半分にかけてのしびれを引き起こし、明け方に症状が強くなるのが特徴です。整形外科では、まず丁寧な問診と、しびれの範囲や筋力、感覚などを調べる神経学的な診察を行います。そして、レントゲン撮影によって、骨の変形や、骨と骨の間隔が狭くなっていないかなどを確認します。さらに、神経や椎間板の状態を、より詳細に調べる必要があると判断された場合には、MRIなどの精密検査を行い、しびれの根本原因を、画像として、目で見て確認することができるのです。このように、手のしびれの大多数を占める原因を、科学的な根拠に基づいて正確に診断できるのが、整形外科の最大の強みです。自己判断でマッサージや整体に通う前に、まずは運動器の専門家である整形外科医の診察を受け、あなたのしびれの本当の原因を突き止めること。それが、つらい症状から解放されるための、最も確実で安全な第一歩となるのです。
手のしびれ!最初に受診すべきは何科?