多くの人が日常的に悩まされている頭痛のほとんどは、脳に明らかな異常がないにもかかわらず繰り返し起こる「一次性頭痛」です。その代表格が、「片頭痛」と「緊張型頭痛」です。これらの慢性的な頭痛の診断と治療も、基本的には「脳神経外科」または「脳神経内科」が専門となります。なぜなら、まず「危険な二次性頭痛ではない」ことを確実に診断する必要があるからです。医師は、問診で頭痛の性質(ズキズキ、締め付けられるなど)、頻度、持続時間、伴う症状などを詳しく聞き取り、必要であればCTやMRI検査を行って、脳に異常がないことを確認します。その上で、国際頭痛分類の診断基準に基づいて、どのタイプの一次性頭痛かを診断します。「片頭痛」は、ズキンズキンと脈打つような強い痛みが頭の片側または両側に起こり、数時間から長い場合は3日間ほど続きます。体を動かすと痛みが悪化し、吐き気や嘔吐を伴ったり、光や音に過敏になったりするのが特徴です。治療は、痛みが起きた時に飲むトリプタン製剤などの特効薬に加え、近年では発作そのものを減らすための予防薬(注射薬や内服薬)も登場し、治療の選択肢が大きく広がっています。「緊張型頭痛」は、一次性頭痛の中で最も頻度が高く、頭全体がヘルメットや鉢巻きで締め付けられるような、重苦しい圧迫感が特徴です。痛みは片頭痛ほど強くはなく、日常生活に支障をきたすことは少ないですが、数十分から数日間にわたってダラダラと続くことがあります。肩や首のこりを伴うことが多く、精神的なストレスや長時間の同じ姿勢が誘因となります。治療は、鎮痛薬の服用に加え、筋肉の緊張を和らげる筋弛緩薬や抗不安薬、さらにはストレッチやマッサージ、生活習慣の改善などが中心となります。これらの慢性頭痛は、専門医による適切な診断と治療計画によって、生活の質を大きく改善させることが可能です。市販薬の使いすぎは、かえって頭痛を悪化させる「薬物乱用頭痛」を引き起こすこともあるため、つらい頭痛を我慢せず、一度専門科に相談することをお勧めします。