ある日突然、何の予兆もなく、指の関節の一つが赤くパンパンに腫れあがり、まるで万力で締め付けられるような、あるいは針で突き刺されるような耐え難い激痛に襲われる。風が吹いただけでも痛い、ということからその名がついた「痛風」。この痛風発作は、足の親指の付け根に起こるのが最も有名ですが、実は足首や膝、そして手の指の関節にも起こり得ます。指の関節が一つだけ、急激に腫れて激しく痛む場合は、痛風の可能性も疑う必要があります。痛風の原因は、「高尿酸血症」です。血液中の尿酸という物質の濃度が正常値を超えて高い状態が続くと、尿酸が溶けきれずに針状の結晶となって関節の中に溜まっていきます。そして、何らかのきっかけ(暴飲暴食、激しい運動、脱水など)でこの結晶が関節内で剥がれ落ちると、それを異物と認識した白血球が攻撃を始め、激しい炎症反応、すなわち痛風発作が引き起こされるのです。痛風発作が起きてしまった場合、その耐え難い痛みを抑えるためには、まず医療機関を受診する必要があります。受診すべき診療科は、急性の炎症を抑えるという意味では「整形外科」が適しています。また、かかりつけの「内科」でも対応は可能です。病院では、痛風発作を抑えるための消炎鎮痛薬(NSAIDs)やコルヒチン、場合によってはステロイドなどが処方されます。しかし、痛風治療で本当に重要なのは、発作が治まった後の、長期的な尿酸値のコントロールです。高尿酸血症を放置すると、痛風発作を繰り返すだけでなく、腎臓に尿酸結晶が溜まって腎機能障害(痛風腎)を引き起こしたり、尿路結石の原因になったり、さらには心筋梗塞や脳卒中といった命に関わる病気のリスクを高めることも分かっています。そのため、長期的な管理は「内科」、特にリウマチ・膠原病や腎臓病を専門とする医師が適任です。血液検査で尿酸値を確認し、必要であれば尿酸の生成を抑える薬や、排泄を促す薬といった「尿酸降下薬」の内服を開始します。同時に、プリン体を多く含む食品(レバー、魚卵など)やアルコールの摂取を控える、水分を十分に摂るといった生活習慣の改善も指導されます。
ある日突然の激痛!痛風発作と指の関節痛