爪のトラブル、まず何科?原因と症状で考えるべき診療科選び
爪の色がおかしい、形が変形してきた、割れやすくなった、あるいは爪の周りが痛い。多くの人が一度は経験する爪のトラブルですが、その原因は非常に多岐にわたります。そのため、「爪のことで病院にかかりたいけれど、一体何科に行けば良いのだろう?」と迷ってしまうのは当然のことです。爪は、医学的には皮膚の一部(皮膚付属器)と見なされています。したがって、爪そのものの病気を専門的に診断・治療する中心的な診療科は「皮膚科」となります。爪水虫(爪白癬)や爪囲炎、爪の変形など、ほとんどの爪のトラブルは、まず皮膚科を受診すれば適切な診断と治療を受けることが可能です。しかし、症状によっては、他の診療科が関わってくるケースもあります。例えば、爪をドアに挟んだり、重いものを落としたりといった明らかな怪我が原因で爪が剥がれたり、下の指の骨が折れている可能性がある場合は、「整形外科」が適しています。また、爪の異常が、実は全身の病気の一つのサインとして現れていることも少なくありません。貧血や甲状D腺疾患、膠原病、心臓や肺の病気、さらには皮膚がんの一種である悪性黒色腫(メラノーマ)などが、爪に変化を引き起こすことがあります。このような場合は、原因となっている全身疾患の治療が不可欠であり、「内科」や「リウマチ・膠原病内科」など、それぞれの専門科との連携が必要になります。さらに、足の爪が皮膚に食い込んで痛む「巻き爪」や「陥入爪」は、皮膚科でも治療を行いますが、ワイヤーを使った矯正治療や、症状が重い場合の手術などは、整形外科や専門のフットケア外来で行われることもあります。このように、爪のトラブルは、まず皮膚科を基本と考えつつ、症状や原因に応じて適切な科を選ぶことが、的確な診断と治療への第一歩となるのです。