天気の良い週末、家族で緑豊かな公園へピクニックに出かけた日のことです。子どもたちは草むらを駆け回り、木登りをして楽しそうに遊んでいました。その日の夜、お風呂に入っているときに、5歳の娘のうなじのあたりに小さな黒い粒がついているのに気づきました。最初はゴミか、あるいは新しくできたホクロかと思いましたが、よく見るとそれは足のある虫が皮膚に頭を突っ込んでいる姿でした。それが、ニュースなどで耳にしていた「マダニ」であると気づいた瞬間、背筋が凍るような思いがしました。幸い、事前に「無理に引き抜いてはいけない」という知識があったため、私は逸る気持ちを抑えて娘をなだめ、翌朝一番で皮膚科へ連れて行きました。医師はピンセットを使って手際よくマダニを除去してくれましたが、その大きさは吸血前よりも一回り大きくなっていました。マダニは家の中にいるダニとは全くの別物であり、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)や日本紅斑熱といった、時には命に関わる感染症を媒介する可能性があります。医師からは「数週間は発熱や発疹が出ないか注意深く見てください」と言われ、私たち家族はしばらくの間、不安な日々を過ごすことになりました。この経験から得た教訓は、屋外での遊びには家の中とは異なる防御策が必要であるということです。草むらや藪のある場所へ行く際は、夏場であっても長袖、長ズボンを着用させることが基本です。服の裾を靴下の中に入れるといった「隙間を作らない」工夫も有効です。また、虫除けスプレーも重要ですが、マダニに効果のある成分(ディートやイカリジン)が含まれているものを選び、肌だけでなく服の上からも散布することが推奨されます。そして最も大切なのは、遊び終わった後のチェックです。マダニは数時間かけて皮膚の柔らかい場所を探して移動するため、帰宅後すぐに入浴させ、耳の後ろ、首周り、脇の下、足の付け根などを念入りに確認することで、吸血が始まる前に発見できる可能性が高まります。娘は幸いにも感染症を発症することなく元気に過ごせていますが、あの時の恐怖は今も忘れられません。自然の中での遊びは子どもにとって貴重な経験ですが、そこには目に見えないリスクも潜んでいます。親が正しい知識を持ち、適切な対策を講じることで、安全に自然と親しむことができるのだと、この出来事を通じて強く実感しました。それ以来、私たちのピクニックセットには、長袖の羽織ものとマダニ対応の虫除けが欠かせないアイテムとなっています。
公園遊びで遭遇したマダニ被害の教訓と対策