のどちんこ(口蓋垂)が赤く腫れて痛む「口蓋垂炎」の背景には、様々な原因が潜んでいますが、その中でも最も頻度が高いのがウイルスや細菌による「感染」です。私たちの喉は、常に外部からの病原体に晒されており、体の免疫力が低下した時に感染症を引き起こしやすくなります。ウイルス性の口蓋垂炎は、いわゆる「風邪」の一症状として現れることがほとんどです。アデノウイルスやコクサッキーウイルス、インフルエンザウイルスなどが原因となり、喉全体の炎症(咽頭炎)に伴って口蓋垂にも炎症が及びます。発熱や鼻水、咳、全身の倦怠感といった、風邪に典型的な他の症状を伴うことが多いのが特徴です。ウイルス感染が原因の場合、特効薬はないため、治療は主に症状を和らげる対症療法(解熱鎮痛薬や消炎薬の使用)と、十分な休養、水分補給が中心となります。一方、細菌感染が原因となる場合もあります。代表的な原因菌が「A群β溶血性連鎖球菌(溶連菌)」です。溶連菌感染症では、高熱と共に喉に激しい痛みが現れ、口蓋垂だけでなく扁桃腺も真っ赤に腫れ上がり、白い膿が付着することもあります。細菌感染が疑われる場合は、ウイルス感染とは異なり、「抗生物質」による治療が不可欠です。抗生物質を服用することで、原因菌を退治し、症状の早期改善と、リウマチ熱や急性糸球体腎炎といった重篤な合併症を防ぐことができます。また、意外に見過ごされがちなのが「アレルギー」による口蓋垂炎です。花粉やハウスダスト、特定の食物などがアレルゲンとなり、喉の粘膜でアレルギー反応が起こることで、口蓋垂が急に腫れあがることがあります。この場合は、喉のかゆみや鼻水、くしゃみといった他のアレルギー症状を伴うことが多く、治療には抗ヒスタミン薬などの抗アレルギー薬が用いられます。このように、口蓋垂炎の原因は一つではありません。耳鼻咽喉科では、喉の所見や随伴症状、流行状況などを総合的に判断し、必要であれば迅速検査キットや培養検査を行って原因を特定し、それぞれに最適な治療法を選択します。
口蓋垂炎の主な原因、ウイルス・細菌感染とアレルギー