私たちの体を支え、歩行や運動の基盤となる足の裏。この狭い面積には、複雑な骨や筋肉、靭帯、神経が密集しており、日々大きな負担がかかっています。そのため、足の裏に痛みが生じることは誰にでも起こりうる、非常によくあるトラブルです。しかし、「足の裏が痛い」と一言で言っても、その痛みの原因は、痛む「場所」によって大きく異なります。例えば、朝起きて最初の一歩が踵(かかと)に激しく痛むなら「足底腱膜炎」、指の付け根あたりが痛んでしびれも伴うなら「モートン病」、土踏まずが痛むなら「扁平足」や「足底腱膜炎」、親指の付け根が痛ければ「外反母趾」や「痛風」など、痛みの発生部位が、原因となる病気を推測する上で極めて重要な手がかりとなるのです。したがって、適切な治療を受けるためには、まず自分の痛みが足の裏のどの部分にあるのかを正確に把握し、それに応じた診療科を選ぶことが大切になります。足の裏の痛みを専門的に診断・治療する中心的な診療科は、骨・関節・筋肉の専門家である「整形外科」です。ほとんどの足裏の痛みは、まず整形外科を受診すれば、レントゲン検査や超音波検査などを用いて、原因を特定し、適切な治療(薬物療法、リハビリテーション、装具療法など)を受けることができます。ただし、症状によっては他の診療科が関わることもあります。例えば、皮膚に明らかな異常(魚の目やタコ、イボなど)があれば「皮膚科」、痛風のように全身の代謝疾患が原因であれば「内科」や「リウマチ科」、糖尿病による神経障害が原因であれば「糖尿病内科」との連携が必要になることもあります。この記事では、足の裏の痛みを「かかと」「指の付け根」「土踏まず」「親指」といった場所別に分類し、それぞれで考えられる代表的な病気と、その特徴について詳しく解説していきます。