子どもが「頭が痛い」と訴える時、親としては非常に心配になるものです。大人の頭痛とは異なり、子どもは自分の症状をうまく言葉で表現できないことも多く、何科に連れて行けばよいか迷うことも多いでしょう。子どもの頭痛で、まず最初に受診すべき診療科は、かかりつけの「小児科」です。小児科医は、子どもの成長・発達を総合的に理解しており、頭痛の原因として考えられる様々な病気(感染症から心因性のものまで)を幅広く診ることができます。子どもの頭痛の原因として最も多いのは、大人と同様に「片頭痛」と「緊張型頭痛」です。子どもの片頭痛は、大人と比べて持続時間が短く、痛みが両側性であることも多いのが特徴です。腹痛や嘔吐といった消化器症状を伴いやすく、「自家中毒(周期性嘔吐症)」や「腹性片頭痛」と診断されることもあります。緊張型頭痛は、学校でのストレスや友人関係、勉強の悩みなどが原因となることも少なくありません。また、風邪やインフルエンザ、中耳炎、副鼻腔炎といった「感染症」に伴う頭痛も非常に多く見られます。小児科では、まずこれらの一般的な原因を念頭に診察を進めます。しかし、子どもの頭痛でも、ごく稀に「危険な二次性頭痛」が隠れていることがあります。特に注意すべきサインは、「頭痛で夜中や明け方に目を覚ます」「嘔吐を伴い、その嘔吐は噴水のように勢いが良い」「日に日に頭痛がひどくなっていく」「視力が落ちたり、物が二重に見えたりする」「歩き方がおかしい、手足の動きがぎこちない」「原因不明のけいれんを起こす」といった症状です。これらの症状は、脳腫瘍などの重大な病気の可能性を示唆するため、小児科医はこれらのサインを見逃さないように注意深く診察し、必要と判断すれば、速やかにCTやMRI検査が可能な「脳神経外科」や、小児神経を専門とする医師へ紹介してくれます。まずは信頼できるかかりつけの小児科医に相談し、初期診断と適切な専門科への橋渡しをしてもらうことが、子どもにとって最も安全で確実な方法です。
子どもの頭痛、何科に連れて行くべきか?