溶連菌感染症、そしてそれが引き起こす皮膚症状を疑った場合、適切な診療科を受診し、正しい診断と治療を受けることが、重症化や合併症を防ぐ上で最も重要です。ここで、受診すべき診療科と、そこで行われる診断・治療について再確認しておきましょう。まず、受診の第一選択となるのは、患者さんの年齢に応じて、子どもであれば「小児科」、大人であれば「内科」です。特に、発熱や喉の痛みが主症状である場合は、これらの科が中心となります。診察室では、まず喉の状態を視診し、扁桃腺の腫れや白い膿(白苔)の付着、そして猩紅熱に特徴的ないちご舌や皮膚の発疹の有無などを確認します。診断を補助するために、喉の奥を綿棒でこすって行う「迅速診断キット」が用いられます。これは、10分程度で溶連菌の有無を判定できる便利な検査ですが、100%正確ではないため、結果が陰性でも症状から強く溶連菌が疑われる場合は、治療を開始することがあります。より確実な検査として、喉の粘液を培養して菌を育てる「培養検査」や、血液検査で抗体価(ASO、ASK)を測定する方法もありますが、結果判明までに数日を要します。治療の根幹をなすのは、「抗生物質」による薬物療法です。溶連菌に対しては、ペニシリン系の抗生物質(アモキシシリンなど)が第一選択薬として非常に有効です。アレルギーがある場合は、セフェム系やマクロライド系の薬が用いられます。ここで極めて重要なのが、処方された抗生物質を、症状が良くなったからといって自己判断で中断せず、医師に指示された期間(通常は10日間程度)を必ず飲み切ることです。中途半端に服用を中止すると、生き残った菌が原因で再発したり、あるいは後述する重篤な合併症を引き起こしたりするリスクが高まります。溶連菌感染症の合併症には、発症から数週間後に心臓に炎症が起こる「リウマチ熱」や、腎臓に障害が出る「急性糸球体腎炎」があります。抗生物質をしっかり飲み切ることは、これらの合併症を予防するために絶対に必要なのです。一方、とびひのように皮膚症状が主体の場合は、「皮膚科」の受診がより適切なこともあります。いずれにせよ、専門医の指導のもと、最後まで確実に治療を完了させることが何よりも大切です。
溶連菌感染症の診断と治療、何科を受診すべきか再確認