のどちんこ(口蓋垂)の炎症は、ウイルスや細菌の感染だけが原因ではありません。日常生活の中に潜む「物理的な刺激」が、口蓋垂炎の引き金となることも少なくないのです。その代表的な原因が「いびき」です。特に、口呼吸で大きないびきをかく人は要注意です。いびきは、睡眠中に喉の奥(軟口蓋や口蓋垂、舌の根元など)が振動することで発生する音ですが、この激しい振動が、一晩中、口蓋垂を叩き続けることになります。この機械的な刺激が、まるで長時間マッサージを受け続けた筋肉が炎症を起こすように、口蓋垂に炎症と腫れを引き起こすのです。朝起きた時に、特に喉の痛みやイガイガ感、口蓋垂が腫れぼったい感じが強い場合は、いびきが原因である可能性を考える必要があります。また、「アルコールの多飲」や「喫煙」も、口蓋垂炎の重要なリスクファクターです。アルコールには血管を拡張させる作用があり、粘膜の充血や腫れを助長します。さらに、アルコールやタバコの煙は、喉の粘膜を直接刺激し、乾燥させて防御機能を低下させるため、炎症が起きやすい状態を作り出してしまいます。飲み会の翌朝に、喉の痛みと共に口蓋垂が腫れている、という経験を持つ方もいるかもしれません。その他にも、非常に熱い食べ物や飲み物による「やけど」、あるいは魚の骨や硬いお菓子などが喉に当たることによる「物理的な傷」が、直接的な炎症の原因となることもあります。これらの物理的刺激による口蓋垂炎は、原因となる刺激を避けることが、最も効果的な治療であり、予防策となります。いびきが原因の場合は、横向きに寝る、枕の高さを調整する、市販のいびき防止グッズを試すといった対策が有効です。重症の場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性も考えられるため、専門の睡眠外来や耳鼻咽喉科への相談が推奨されます。飲酒や喫煙が習慣になっている方は、これを機に節酒や禁煙を心がけることが、喉の健康を守る上で非常に重要です。
いびきや飲酒も原因に?物理的刺激による口蓋垂炎