特に足の親指の爪の両端が、内側に強く弯曲して皮膚に食い込む「巻き爪」や、爪の角がトゲのように皮膚に突き刺さって炎症を起こす「陥入爪(かんにゅうそう)」。歩くたびに激しい痛みを感じ、ひどくなると赤く腫れて膿が出たり、出血したり、さらには不良肉芽(にくげ)と呼ばれる赤い肉の盛り上がりができたりすることもあります。この非常に辛い爪のトラブルは、主に「皮膚科」や「整形外科」で相談することができます。また、近年では「フットケア外来」を設けて、専門的に治療を行っている病院もあります。どの科を受診するかは、症状の程度や、希望する治療法によっても変わってきます。まず、炎症が起きて赤く腫れたり、膿が出たりしている場合は、感染を抑える治療が最優先となります。この場合は、抗生物質の内服や外用薬の処方が可能な皮膚科が適しています。軽度の巻き爪や陥入爪であれば、食い込んでいる爪と皮膚の間にコットンを詰める「コットンパッキング法」や、テーピングで皮膚を引っ張って爪との隙間を作る「テーピング法」といった、保存的な治療が行われます。しかし、これらの方法で改善しない場合や、爪の弯曲が強い場合には、より積極的な矯正治療が必要となります。代表的なのが、爪の表面に特殊な形状記憶合金のワイヤーやプレートを装着し、その張力で爪の形を徐々に平らにしていく「矯正治療」です。この治療法は、保険適用外の自費診療となることが多いですが、痛みが少なく、日常生活への支障も少ないため、多くの医療機関(主に皮膚科やフットケア外来)で採用されています。一方、炎症や痛みが非常に強く、矯正治療が難しい場合や、再発を繰り返す場合には、外科的な治療が検討されます。これは、食い込んでいる部分の爪を部分的に切除し、さらにその爪が生えてくる根元の部分(爪母)をフェノールという薬品で焼いたり、外科的に切除したりして、爪の幅を狭くすることで、再発を防ぐ方法です。「フェノール法」や「鬼塚法」と呼ばれるこれらの手術は、主に整形外科や一部の皮膚科で行われます。巻き爪や陥入爪は、間違った爪の切り方(深爪やバイアスカット)や、サイズの合わない靴、急激な体重増加などが原因となります。治療と並行して、これらの生活習慣を見直すことも、再発防止のために非常に重要です。