病院の予約電話は、単なる事務手続き以上の意味を持っています。実は、電話での対応からすでに、患者さんと医療従事者の信頼関係は始まっているのです。10年以上のキャリアを持つクリニックのベテラン受付スタッフに、好印象を与える話し方のポイントを伺いました。彼女がまず挙げたのは「声のトーンとはっきりとした発声」です。電話越しでは声が低く、こもりがちになりますが、少し高めの声を意識して、自分の名前や生年月日をゆっくり話してくれる患者さんには、こちらも聞き取りやすく、ミスのない入力をしようとさらに気が引き締まるそうです。特に生年月日の数字は間違いやすいため「昭和、5、8、年、8、月、1、日」というように、区切って話すのがコツです。次に「相手の状況を察する一言」の重みです。クリニックの午前中は、待合室が満席で電話も鳴り止まない戦場のような忙しさであることが多々あります。そんな時、電話の冒頭で「お忙しい時間にすみません」と一言添えてくれる患者さんには、スタッフも心に余裕が生まれ、最大限の配慮をしようという気持ちになるそうです。また、スケジュールの管理がしっかりできていることも好印象に繋がります。電話口で「えーっと、いつが良いかな、手帳がどこかにあったはず……」と数分間も待たせてしまうのは、後ろで電話を待っている他の患者さんのためにも避けたい行為です。電話をかける前に、第3希望くらいまでの候補日を決めて、それをカレンダーを見ながら即答できるように準備しておくことは、自分だけでなく他の人への優しさでもあります。さらに、わからないことを素直に質問する姿勢も歓迎されます。「初めてでシステムがよくわからないのですが、何分前に行けば良いですか」や「支払いはカードが使えますか」といった質問は、当日窓口でのトラブルを防ぐために非常に有益です。最後に、電話を切る際の丁寧な挨拶は、スタッフの心に温かい余韻を残します。「よろしくお願いします」の一言があるだけで、私たちはその患者さんが来院されるのを心待ちにするようになります。話し方1つで、受診当日の病院全体の空気感が変わることもあるのです。お互いに敬意を払い、円滑なコミュニケーションを心がけることが、質の高い医療を受けるための隠れた秘訣と言えるでしょう。
クリニックの受付に聞いた電話予約で好印象を与える話し方