高血圧、糖尿病、脂質異常症、あるいは長年の悩みである花粉症といった慢性的な疾患において、病院の薬と市販薬のどっちが安いかという問いの答えは、長期的な視点を持つことでより鮮明になります。こうした継続的な治療が必要な場合、結論から言えば、定期的な通院をして処方薬をもらう方が、市販薬を使い続けるよりも遥かに経済的です。まず、市販薬は一般的に1週間分や2週間分といった小分けのパッケージで販売されており、1日あたりの単価が高めに設定されています。これに対し、病院では病状が安定していれば、30日分や60日分、場合によっては90日分といった長期の処方を受けることが可能です。診察代や処方箋料は1回の受診ごとに発生しますが、これを長期間の薬の数で割れば、1日あたりの固定費としての受診代は数十円単位まで薄まります。例えば、市販のアレルギー薬を毎日服用すると、1ヶ月で3000円から4000円かかることもありますが、病院でジェネリックの抗ヒスタミン薬を60日分処方してもらえば、診察代を含めても3000円程度で済むケースがあります。つまり、2ヶ月スパンで見れば、病院の方が数千円単位で安くなる計算です。また、病院の大きなメリットは、定期的な検査を受けられる点にあります。血液検査や尿検査を通じて薬の効果を確認し、副作用が出ていないかをチェックすることで、病気の悪化を未然に防ぐことができます。もし市販薬で誤ったセルフケアを続け、気づかないうちに病気が進行して入院が必要になれば、それこそ数十万円の莫大な費用が発生します。この「予防的価値」を金額に換算すれば、病院受診のコストパフォーマンスは計り知れません。さらに、病院では患者の体質に合わせた細かな薬の調整が可能です。市販薬は「誰にでもそこそこ効く」ように作られていますが、処方薬は「その人に最適に効く」ように選ばれます。無駄な薬を飲まずに済む、あるいは効果の低い薬を買い続ける無駄を省けるという点でも、病院は合理的です。お薬手帳を持参し、かかりつけの医師や薬剤師と良好な関係を築いておけば、無駄な重複投与を避け、トータルの薬代をさらに圧縮することも可能です。慢性的な悩みであればあるほど、目先の便利さに惑わされず、医療保険制度の恩恵をフルに活用して病院でじっくりと治療に取り組むことが、最終的な家計の防衛に繋がるのです。
慢性疾患における通院コストと処方薬の長期的なメリット