妊娠中の運動不足解消やリフレッシュのためにマタニティスイミングやプールの利用を検討する女性は多いですがそこで気になるのが水質や施設環境を通じた感染症のリスクです。妊娠中の女性の体はホルモンバランスの変化により通常時よりも免疫力が低下しやすくまた膣内の酸性度が変化することで自浄作用が弱まる傾向にあります。そのため公共のプールという不特定多数が利用する環境では細菌や真菌、ウイルスによる感染症に対して細心の注意を払う必要があります。まず代表的なリスクとして挙げられるのがカンジダ膣炎です。これは常在菌であるカンジダ菌が免疫力の低下やプールの塩素刺激によって異常増殖することで引き起こされます。強い痒みやおりものの変化を伴い悪化すると炎症が広がる恐れがあるためプールの後はしっかりと真水で洗い流し清潔な下着を着用することが重要です。またプールサイドや更衣室、シャワー室の床などを介して感染する可能性があるのが白癬菌による水虫や足底疣贅といった皮膚の感染症です。妊婦は足元の感覚が鈍くなりがちで小さな傷から菌が侵入しやすいため素足で歩く場所では特に注意が必要です。さらに水中に浮遊する大腸菌などの細菌による尿路感染症のリスクも無視できません。妊娠中は子宮が大きくなることで膀胱が圧迫され尿の流れが滞りやすくなっているため一度菌が侵入すると膀胱炎や腎盂腎炎へと進展しやすい特徴があります。これを防ぐためには泳いだ後は速やかに排尿を行い水分を十分に摂取して細菌を洗い流す習慣をつけることが推奨されます。プールの水自体は塩素によって消毒されていますがすべての病原体が瞬時に死滅するわけではありません。特にアデノウイルスによる咽頭結膜熱や流行性角結膜炎などのウイルス感染症はタオルの共用や手すりへの接触を通じて広まることが多いため私物の管理を徹底し目をこすらないようにするなどの基本的な対策が欠かせません。施設選びにおいては水質管理が徹底されているか妊婦専用のコースやクラスが設けられているかを確認することが大切です。マタニティ専用のクラスでは参加者の健康状態を事前にチェックする体制が整っておりまた激しい動きを避けたプログラムが組まれているため身体的な負担とともに感染リスクも低減される傾向にあります。妊娠中期以降で安定期に入っていることがプールの利用条件となるのが一般的ですがそれでもお腹の張りや出血がある場合あるいは子宮頸管が短くなっていると診断されている場合は感染症が子宮内へ波及するリスクが高まるため利用を控えるべきです。特に破水の可能性がある時期や、おしるしが見られた後はプールへの入水は絶対に行ってはいけません。万が一利用後に普段とは違う痒みや違和感、発熱などの症状が出た場合は自己判断で市販薬を使用せずすぐに産婦人科を受診して適切な治療を受けることが胎児を守ることにも繋がります。適切な知識を持ち自身の体調と相談しながら正しくプールを活用することで健やかなマタニティライフを送ることが可能になります。